教えてジェミー コントラクトブリッジとは その14 サマセット・モーム
教えてジェミー コントラクトブリッジとは その14 サマセット・モーム
今回は、巨匠サマセット・モームです。
(ポアロ)
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『人間の絆』や『月と六ペンス』で知られるイギリスの世界的劇作家・小説家、サマセット・モーム(W. Somerset Maugham, 1874–1965)もまた、非常に熱狂的で、かつ「容赦のない」コントラクトブリッジのプレイヤーでした。
皮肉屋で人間観察の天才だったモームは、ブリッジというゲームを通じて人間の滑稽さや本質を見抜き、辛辣で機知に富んだ言葉やエピソードを多数残しています。
サマセット・モームの言葉
1. 「ブリッジは、人生の後半において最高の慰めとなる」
「ブリッジは、人が老いたときに手に入れられる、最も価値のある気晴らしの一つだ。これさえあれば、孤独や退屈に苛まれることはない」
モームは晩年、南仏の別荘(ヴィラ・モーレスク)に多くの文化人を招いてブリッジに興じました。彼は「恋愛や肉体の若さが去ったあとでも、知性とスリルを提供し続けてくれるのがブリッジである」と語り、老後の人生を豊かにする重要なパーツとしてブリッジを高く評価していました。
2. 「カードの扱い方を見れば、その人間の『器』がわかる」
人間観察の大家であるモームにとって、ブリッジテーブルは格好の観察の場でした。
「人は、どれほど自分を偽ろうとしても、ブリッジのテーブルでは完全に裸にされてしまう。欲深さ、臆病さ、不誠実さ、あるいは気前の良さや冷静さといったものが、ビッドやプレイの一挙手一投足にすべて現れるからだ」
彼は、ゲーム中にパートナーがミスをした際に見せる態度や、負けたときの表情から、その人物の本当の教養や「器の大きさ」を測っていました。
容赦なさすぎるエピソード
1. 初心者の女性ゲストを泣かせる「厳しいホスト」
モームはブリッジのルールやマナーに対して異常なほど厳格でした。 ある時、彼の南仏の別荘に招かれた若い女性ゲストが、モームに誘われてブリッジの卓につきました。彼女はカジュアルな「お遊び」のつもりでしたが、モームは超真剣モード。彼女がビッドのセオリーを無視した悪手を打つたびに、モームは冷酷な眼差しで冷徹な批判を浴びせ続けました。 あまりの恐怖とプレッシャーに、その女性はついにテーブルで泣き出してしまったという逸話が残っています。モームにとって、ブリッジで「いい加減なプレイをする」ことは、芸術を侮辱するのと同じくらい許せないことだったのです。
2. 短編小説『三人の紳士(The Three Fat Women of Antibes)』
モームはブリッジを題材にした素晴らしい短編小説も執筆しています。その中の一つが『アンティーブの三人の太った女(邦題:三人の紳士などの短編集に収録)』です。 日頃から一緒にブリッジをしている熱狂的な肥満女性3人のグループに、ある日、非常にスリムでブリッジが天才的に上手い女性が加わります。しかし、その新参者が「ダイエットのために何も食べない」のを見て、最初は対抗していた3人が崩壊し、禁欲を破ってケーキを貪り食いながらドロドロのブリッジの心理戦を展開するという、人間の業をコミカルかつ痛烈に描いた傑作です。モーム自身が日々目撃していた「ブリッジ中毒者たち」の光景がベースになっています。
3. イアン・フレミング(『007』原作者)とのブリッジ対決
モームは、『007』シリーズの生みの親であるイアン・フレミングとも親交があり、彼らはよくブリッジで対決していました。フレミングもまたブリッジの達人であり(007の小説『ムーンレイカー』には有名なブリッジのイカサマ対決シーンが登場します)、イギリスのインテリジェンス(諜報)の香りが漂う中で、二人は互いの知性をぶつけ合っていました。
サマセット・モームにとってコントラクトブリッジとは、単なる老後の暇つぶしではなく、「人間の本性が剥き出しになる瞬間を特等席で眺めるための、最高の人間観察ツール」だったと言えます。
モームのブリッジに対する姿勢が分かるエピソードありがとうございます。
返信削除マナーは本当に大切、自分を戒めます。人間性も全て出て、怖いくらい。
反面、楽しさを知れば、病み付き間違い無し。
真打登場!ですね。
返信削除モームも大好き❤
至るところにブリッジが出てきますよね。
紳士の嗜みはブリッジとゴルフという一節もあったような。
オランダ人の3人なかよし船乗りの話(作品名は失念)、3人はブリッジ好きだけどリボーグ、反則しまくりのとんでもないブリッジをやってたとあったような。
3人の太った女読んで、そんなにブリッジって面白いんだぁと可愛い女子高校生(私)は思ったのでした。